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北野天神縁起小説「腐れ梅」

エンタメ北野天神縁起「腐れ梅」

これまでに菅原道真公が主人公の小説を紹介してきました。
unlearn-mahikari.hateblo.jp
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今回は北野天神の創建を元にした? 娯楽小説「腐れ梅」の紹介です。

腐れ梅 (集英社文庫)

腐れ梅 (集英社文庫)

道真公が亡くなって40年後の物語なので、天神さまは登場しません。

腐れ梅の あらすじ

主人公はエセ巫女の綾児(あやこ)。
祈祷や託宣のまねごとくらいはするものの、本業は色を売ること。
少し前までは持ち前の美貌で客を切らさなかったものの、加齢とともに客足が落ちています。

ある日、他のエセ巫女の阿鳥(あとり)から「道真公を祀る神社をでっちあげて建てよう」という話を持ちかけられます。

この稼業は長く続けられないというのは、阿鳥も綾児も同じ。
真面目に道真公をお祀りするというわけではなく、貴族が祟りを怖がってるから、道真公をお祀りすればたんまりと寄付がいただけるであろうという算段でした。
儲け話として綾児は乗ることにしました。

阿鳥はプロデューサーとなり、顔面偏差値の高い綾児は神がかりになって道真の霊を降ろし、「北野の地に祀ってほしい」と託宣を述べるパフォーマーとなる計画を立てます。

この小説、すごく面白いです。
何しろ定期的に主人公が絶体絶命のピンチに陥ります。

まず最初の大仕事で、神懸かりになったパフォーマンスの場面。
いい感じに観客が盛り上がったところ、道真の霊として託宣を述べているところに、一番会いたくない知り合いに「こいつインチキ巫女じゃん」って言われたりします。

その後は最鎮という僧侶に宗教面のサポートをしてもらうことになり、北野天神縁起も創作してもらいました。
綾児は藤原氏から寄進を取り付けたり、となかなか順調に進んでいきます。
しかし根が男好きでだらしない綾児と、潔癖症の最鎮に溝ができはじめます。

感想

なかなか人間がよく描けていてよかったです。

天神様は色恋と遠いイメージなので、すぐに色目を使う下賤な綾児とで聖俗を対比させています。
貴族のように雅に生きられない。生々しくて泥臭くて、でも力強い民衆たちの物語。

天満宮の本など拾い読みしましたが、「意外とこういう成り立ちかもしれないなぁ」と思うところはありました。

北野天神はあや子(文子・綾子)という賤しい身分の女性が、小さな祠を建ててお祀りしたのが始まりです。
研究者によっては「あや子が最初にお祀りしたという話自体が創作だ」とお怒りの人もいれば、「あや子が賤しき身分と言ったのは単なる謙遜で、本当はいい家柄の女性だった」という人もいます。
あや子と最鎮の派閥争い自体は多少ありそうな感じでした。

「腐れ梅」は真面目に天神様を信仰している方にはやや不快な小説かも知れませんが、面白いことには間違いありません。
当時の神社や民衆の信仰がどういう扱いだったなどがほどよく描かれています。
でっちあげの神社だけれど、だんだん「本当に神懸かりでは?」と思わせてくれます。

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