真光やめたら幸せになりました

真光やめるほどじゃないけど、ちょっと疲れたな。そんなときは一息つきましょう。無理にやめなくてもいいんですよ。

「祇(くにつがみ):Path of the Goddess」絵馬で分かる山祇の怒り 畏哭編

一体何が罪穢れだったのか

なんで怒っているか分かる?

山神さまからのクイズDVを解いていくのがこの「祇:Path of the Goddess」。
神社検定壱級合格者が、畏哭の絵馬を中心に山神さまの怒りの原因を解説。
ネタバレなので2周目クリアの上ご覧ください。

神道上の罪穢れについては下の記事で解説しています。重要な概念ですので、先に以下の記事をお読み頂けると分かりやすくなります。
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OPに見る穢れ

大いなる山祇さま?


最初のムービーに登場した「大いなる山祇さま」。
切れ長の目元が宗に似ているかもしれません。
武装・男装するアマテラスの絵だと思いますが、怖さはあっても清浄さや温和さからは遠いように思います。*1

人魂に囲まれ、左下には穢れらしき黒い煙があり不穏です。
大いなる山祇さまの正体についての解説記事はこちら。
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実況動画をいくつか視聴し、考察記事もほぼ目を通しました。
意外にベタな日本神話や用語が知られておらず、世間との落差を感じてさみしくなりました*2

神道に限らないのですが、現代のネットでまともな知識を得るのはかなり難しい状況です。

神社の公式サイトや神主さんが書いたもの、國學院や皇學館監修のものは比較的信用できるのできます。たまに偽物の神主もいます。執筆者のプロフィールを確認したらあまりハズレはありません。

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他山から来る穢れ

元々の発生源は禍福山ではなく他の山でした。

OPムービーでは、手前の水田から穢れらしきものが飛び、禍福山山頂を雲となって覆います。

手前の水田は畦に雑草が生え、苗を植えた直後に見えます。

禍福山の麓には平野が広がり、稲作ができそうですが一面は畑です。

穢れは白黒で細長く水玉模様。世代が吸い込む穢れと同じデザインだ。

ちなみに宗の面は白一色だが、よく見るとこれと同じ立涌に水玉柄の意匠が薄く入っている。

立涌に水玉の文様

この柄は戦闘不能になった村人の足下にもある。

穢れ繭になった村人

魔像が納めてある小さな社も、魔像が入った白木箱の下に引いてある布が同じ柄です。

アイテムがもらえる祠の木箱の下に引いてある布

意外と村人の着物柄などにも使われています。
宗の面について開発者インタビューによると

“世代”との関係性を表すような仮面のデザインになっています(電撃オンラインより)

とのことなのですが、正直分かりませんでした。

文楽版によると人々の罪穢のせいで陽は陰り、巫女世代の祈祷の力も弱まったとしています。
宗咒(=アマテラス)が祟神になったのも、穢れが累積して太陽神としての力が弱ったのかもしれません。
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別途しますが禍福山は豊かな生活を送り、行政や福祉も一通り社会体制が整っています。
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参拝者の増加で観光業も賑わい、麓との行き交いも多いことから、他の山から嫉妬のような軋轢が発生したように見えます。

追記2025/5/31
禍福山に行く街道には人がたくさんいますが、禍福山山頂に行く人は少ないように見えます。
遠景だから描いていないのでしょうか?
追記ここまで。
穢れは参道を覆い鳥居や社殿、地蔵など宗教施設を中心に破壊し覆っていきました。

山祇の怒りポイント

全体的に欲望と自然破壊、無益な殺生、人の作ったものを穢れとし、攻撃対象にする傾向がある。
何より自然への畏れや敬い、感謝と慎みをなくしてしまったその心が問題と言える。

畏哭も元は人間だったものが多く、生前の悪行や不幸が原因で死霊や鬼霊となったケースがある。
仏像、悪僧など仏教系、山間に縁のある落人もいる。

罪と穢れが畏哭を産みだしたので、絵馬を平安時代大祓詞(おおはらえことば)の罪で分類し、見ていきましょう。
罪とは、簡単に言うと不快なことすべてです。

番外編 天津罪

呪いで土地を干上がらせた「魃」は農業の妨害になると考えられます。
天津罪には田の引く水の妨害は3つありますが、「呪いによって干上がらせる」というものはありません。
山の谷から水を引く()を取り払う樋放(ひはなち)が多少近いと思われる*3

国津罪

生膚断(いきはだだち)

人間が生きた人を傷つける罪。暴行・傷害罪など*4
「屍肉侍」敵味方なく人を襲い刀を振るう。
「野寺坊」落ち武者をかばって斬られた被害者側。
「仏法僧」戦場で主を失う。
「のつご」飢饉のさいに村人は「身を傷つけ神に祈りを捧げ」た。

病気

現行の大祓詞からは天津罪国津罪自体が削除されています*5*6
山の神は虫を送りますが、歯や田(皮膚病)など病気治しにご利益があると信じられていました。

「仏法僧」落人(おちうど)は病気への偏見で孤立し、畏哭となった。
仏法僧は、生前は見た目で恐れられたが主だけは彼の腕前を評価して召し抱えたのだろう。自分を病気で差別せず正当に評価してくれた、たった一人の主を失ってしまった。そう考えると切ないものがある。

「特殊スキルを持つ被差別者」というのも漂白民の多い山に関わるキーワードである。

昆虫(はうむし)の災い

蛇や百足など地上を這う生き物からの被害のこと。
洞窟内の蛇は穢れで蛇足が生えて百足に見える。
幽暗洞は「かつて近辺の村々を蝕み害をなす謂れをもつ蟲たちの根城だった」

高津神(たかつかみ)の災い・高津鳥の災い

「雷神、彗星、妖魔などの災禍」と「怪鳥、天狗などの災禍」。
雷公坊、つるべ落とし、かまいたち、しょうけらが該当する。
浮遊するものはすべてこれに分類してもよいかもしれない。

天狗や山伏系のものは「煙々羅」と烏天狗の魔像ぐらいですね。
害意や悪行以外に病気や災異も罪穢れに入る理由は、罪穢の解説記事をお読みください。
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(けもの)(たお)

獣を(呪術によって)殺すこと。
「魃」家畜の死体。

蠱物(まじもの)せる罪」

災厄を祈祷する。呪いで正しいものを混乱させる罪。
「ろうそく老」は「邪法を信じた魔神餓鬼*7」に近いと思われる。
「魃」家畜の死体を使って、人々を呪う。
「やつかはぎ」蠱毒を呪術に使用。異界の門で神隠しが起きる。神隠しは山神の信仰が失われた場所に多い。
「煙々羅」呪面の力で宗と仮面の力を押さえる。呪面となったのは悪僧だが、煙々羅自身については詳細不明。山伏修行で験力を得て悪僧どもをこらしめたが、畏哭になってしまったのではないか。最初の動機は正義感だったのかもしれない。

こうしてまとめると、邪法に惹かれると「人を呪わば穴二つ」で統一されているようだ。

ない罪

特定のジャンルのに該当する畏哭やストーリーがありませんでした。

天津罪国津罪以外

欲望

人に障りを与える死霊を餓鬼と呼ぶ。頭と腹が膨れ手足が細い。生前に犯した罪で種類が分かれるが、欲に関するものが多い。

「餓鬼」系の畏哭は種類も多く、生前から「放蕩の限りを尽くした生臭坊主」と素行が悪く、「止まることを知らない欲」を満たせず苦しむ。

「炭餓鬼」のように穢れや不浄を食せるものもいる。
仏教における餓鬼も犯した罪によって細かく決まりがあり、吐いた唾だけを口に出来たり、子孫からの供物のみ食せるなど様々だ。

「籠かぶり」は仕事に精が出ず、窃盗がばれて討伐された。
箱の下に口があり、結晶を拾い集めて食べている。結晶はゲーム内では通貨の役割を果たすので、今も金品の亡者ということだ。

ちなみに現代の神道では怠ける、嘘をつく、怒るなども罪とされる。

豪欲

縁離村の男は豪欲で村を追放された。
「物盗り」は豪欲を盗み分配して均衡を保つ。
狩猟社会で獲物は偶然居合わせた者であっても平等に分かち合わなければならない。山神さまからの頂き物なので、独り占めすると以降は獲物が獲れなくなるとされる。

自然破壊と開拓

「餓鬼」人の手のかかったものを判別する。
かまいたち森林伐採。人や人の作り出したもの、建物を切断。
「鬼灯目」開拓された土地、土地を敬う心を忘れた人々。
「土壌汚し」土地が不浄になるが後に肥沃な土地になることから、土地も穢れを祓って生まれ変わることが分かる。焼畑のことかもしれません*8
八面王(やつらおう)」伐採により木々が穢れる。
神座(かむくら)神社」では聖なる神輿が祀られている。かつて神が降り立ち、山を切り開いて神域としたが、神は二度と降りなかったとある。

神楽でもっとも重要な、「神懸かりになって託宣すること」ができなくなったのか、そもそも社殿に神さまが鎮座しておられないのか。
神輿が祀られているので後者かな?

池や橋もあり山頂よりもずっと立派な神社だが、そこに神はおられないのだ。
山祇の求めるものと村人の敬意がすれ違ってしまったのは不幸である。

鉱山開発

「荒雷渓谷」の荒れ狂う川は「山を崩し続ける人々への罰」か「散った命の怨念」か。
切り拓くではなく「崩す」とあるので鉱山ではないだろうか。

特に明言はないのでこの項はすべて推測です。

宗と世代、祖神の面をつけた村人の装束、畏哭にまで金がふんだんに使用されているので、金鉱が採れていたのかもしれません。逆に社殿などの宗教施設には金の使用が見られません。


崩落、爆破事故で散った命があってもおかしくありません。

木樵が切った木は何に使っていたのでしょう?*9
鉱物の製錬には大量の炭が必要になります。過剰な伐採で植生が変わることもありました。

金属で生活は豊かになりましたが、鉱毒や製錬で失明や中毒症状を引き起こし、水質は汚染されました。

イザナミは火の神ヒノカグツチノカミを産んで火傷をして病み伏せ、嘔吐物からは鉱山の神*10、糞からは粘土の神*11、尿からは生産の神*12が生まれました。

これは何が言いたいのかと言うと、山を切り拓き火を入れる(=女神の体を傷つける)ことによって、鉱物や金属加工品、粘土や土器が得られたということです。

イザナキは愛しき妻の死を嘆き、イザナミの遺した鉱物と死因となった炎で生成した十拳剣(とつかのつるぎ)を以て、我が子カグツチを斬りました。

人の悪性系

「魃」人が増えるほど様々な穢れを呼び込む。米が実ることに嫉妬して呪ったのだろう。
「ヒダル神」自分の苦しみを人にも味わわせる。
仮面をつけて離れなくなる話はよくある。

村人にダメージを与えるので、「周囲に悪影響を及ぼす」という意味では穢れの定義に当てはまります。
ただ感染性はないので、その点が神道の穢れとは違いますね。

接触でうつらないタイプの穢れのようですが、同火で調理したものを飲食すると感染するかも知れません。

ヒダル神に憑かれて首の角度がおかしくなった槍使い

余談ですが神楽は神事ですから、神を降ろす係である太夫は斎戒します。

とある神楽での斎戒は「家族と同じ火で調理したものを口にしない」という決まりがあるのですが、事実上難しいので、せめて別の部屋で食事を取るようしていたそうです*13*14

見てはならぬ

飛頭蛮」無理矢理顔を見ると呪われる。
「百足女郎」洞窟に暮らす女を見ると、その村の田畑は蟲害を受ける。山神さまは木々の神さまなので虫は送ってきます。
概ね出産など女性の見られたくない姿や本来の姿を見ることを「見るなのタブー」というが、守ったためしがない。
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冤罪系

「雷公房」博識と落雷、農耕から天神さまがモデルと思われる。
道真公は梅を愛したお方ですが、竹を「この君」と呼んで偲んでいました。
霧竹村からも遠雷が聞こえ、その怒りの凄まじさが分かる。

刑罰系?

「しょうけら」斎戒のときには罰を決めたり実行することは禁忌ですが、あまり関係ないでしょう。神が穢された理由は不明です。

事故系

「つるべ落とし」水の事故。
山で事故などがあった場所は立ち入り禁止になることがある。

供養済系

野寺坊、仏法僧、百足女郎など祀られたり供養されても畏哭になったケースがある。
元々山に眷属として安らかに眠っていたが、穢れで目覚めてしまったのかもしれない。

何故穢れは山頂に集まるのか

山神さまが山頂にいるのは当たり前ですが、何故穢れもそこにあるのでしょうか。

大祓詞によると、国津神は高い山低い山の頂にのぼって(略)、罪穢れは山頂から谷川を早く下っていくという描写があるので、一度は罪穢れが山頂に集まることになります。

本来、穢れは川から海に流れ根の国底の国に消えていくはずなのですが、何故か山頂で滞留して山祇ともつれてしまいました。

山上他界のもつれ

死んだ人の魂は山へ行き先祖が鎮まる一方で、死霊や悪鬼もおり妖怪――畏哭となります。

ということは、村人は自分たちのご先祖さまを討ち祓ってる可能性があります。
――成仏して頂いたということにしておきましょう。

穢れた鳥居の向こう側は冥土程度の情報しかありません。
神道は死後の世界の情報が少ないのです。

「墜ちた神」というモチーフはよくありますが、神と妖怪や穢れが「もつれる」と表現したのはめずらしいのではないでしょうか。

山の神は特に先祖霊と混淆し、一門の先祖神、氏神や村落の守護神として祀られました。

山の神は先祖であり、死霊や天狗や悪鬼であり、病気になる虫を送り、また病を癒やし、命を奪い、子を授けて出産を助け、木々や動物などを領有し、獲物を与え、家畜を保護しまたは襲い、貪欲で人をも喰い、まつろわぬ民であり、道に迷わせまた導き、仕事道具を取り上げ、子供や大人も攫い、福を与え、女を遠ざけ、女性の元に通う蛇姿のアマテラスであり、男子の成人を承認する。

山の神という概念自体が様々なものと関連し合い同一視され、もつれたものであります。

穢れ断ちの祭祀が具体的に何かは示されませんが、1周目の世代霊石化エンドということにしておきましょう。
世代を犠牲にすることなのでこれを行わず、穢れがたまってしまってやらざるを得なくなったのが1周目という見解です。

世代の輪廻転生

世代自体が「混沌の世に生まれ」つまり穢れがたまって、もつれた状態の世の中に生まれてきます。

山と神楽の先祖観ですから、世代が死んで祖先となり、その魂は清められてまた次の世代として生まれ変わるはずです。

1周目のラストで次の世代が生まれてきてしまったから宗は踵を返したのではないかと。

「(山祇との)約束を守れなかった人々への国津罪なのか」

山神さまの木々を伐り魚や獣を頂くには儀礼や供物など厳重な決まりがあります。

伐ってはいけない木を切るときは供物をいつもより多く捧げて、一本伐るなら若木を二本植えて、お移りいただいてから伐木します。
本質的な部分を残した上で充分な代償を奉らなければなりません。

祓えには罪に対する刑罰や社会的制裁、金品などによる償いという意味もあります。

「人々の築き上げたすべてのものを無に返す」

村人が切り拓き、明光を浴びた峠は光が届かぬ地になり、耕し潤し黄金に輝いた稲田は干上がり、賑わった宿場町は神隠しで活気を失う。
地蔵や鳥居、お堂や家屋、人の作ったものは破壊され、社殿は穢れに覆われた。

人の作るものは山神さまを傷つけます。
その罪穢れが畏哭となりました。

畏哭は山祇の眷属ですが、禍福山の祖霊や、死霊でもあります。
山祇と闘っているように見えて、これは人の犯した罪や業との闘いの物語なのです。

人々の罪を世代が背負い、舞とその命を奉納して償うための旅の物語です。
償いを全うさせるために山神は宗を遣わせました。
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*1:人間が上手(右)で神さまが下手(左)なのも違和感があります。

*2:おついち氏は祝詞どころか警蹕してました

*3:今でも田に引く水でもめることがあるとSNSで見かけた気がします

*4:肌を切るのが罪なので血液そのものではない

*5:病名のみで罪とも災いともされていません。病自体は穢れです

*6:罪は不快なこと全般なので病気や災害も含めます。

*7:修験道体系P168

*8:日本の焼畑農業は数年輪作し、最後に植林して10~20年程度休ませるサステナブルなやり方でした

*9:材木として売却した可能性はありますが、川が急流なので死人も多く出たと思います。

*10:カナヤマビコノカミとカナヤマビメノカミ

*11:ハニヤスビコノカミとハニヤスビメノカミ

*12:ワクムスヒノカミ

*13:当然地域と時代、祭の種類などに応じて規定は異なります。民間の先祖祭りの側面が強いですからね

*14:「神楽と神かがり」 牛尾三千夫