真光やめたら幸せになりました

真光やめるほどじゃないけど、ちょっと疲れたな。そんなときは一息つきましょう。無理にやめなくてもいいんですよ。

Google Mapが使える古代神に殺されかけた件について。2

 

前回はこちら。

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今度こそ本来の目的地であるカフェに無事に着き、ここは私が奢ることにしました。

店で落ち着いてから、たぶん初めて「あれはさすがにおかしかったよねえ」という話をしたのかもしれない。

「やはり自分の方が止めるべきだった」
とうしおが反省する。私がわりと強引に連れて行った気がするし、そもそも私が間違えたのにも関わらず。うしお的には、おかしいと思ったのに止めなかったから自分がいけないんだそうです。

腹ごしらえをして帰路に就きました。
うしおが「車を修理するくらいなら、金がかかるし売ろうかな」と妙に悲観的になっていました。二人で出かけたときに洗車をしたことは一度もなかったのですが、ガソリンスタンドに寄って車を洗いました。どうも車の穢れが嫌で衝動的に売りたくなっただけのようで、洗い流した後はそんなことは思わなくなりました。むしろ危機から守ってくれて乗り越えられた相棒のように思えたようです。

私は私で急に塩が食べたくなりました。脱水というわけではなさそうです。しょっぱいものが食べたいとか飲みたいとかではなく、欲しいのは塩そのものという感触なので、「これは清め塩の出番だな」と家に帰りました。

お風呂に入る前に、自分の本がなくなっていることに気づきました。もう読まないけれど売りに行こうと思い、本棚から出してよけておいた本です。
うしおに聞くと処分したといいます。粗大ゴミなどはうしおに捨ててもらうので、部屋の隅に一時的に置いておくのが我が家のルールです。それは本をよけておいた場所に隣接していました。
「捨てるところには置いてないよ」と悲しげに何度か言いました。うしおはルール通りに処分しただけなので、困惑しています。私としては絶対にそこに置いた記憶はなかったので「勝手に捨てられた」と感じていました。言い争いに発展してもおかしくない状況です。というか普通はなると思います。

とりあえず二人で湯船につかって一息。
うしおが言うには、私に声をかけて「捨てていいか」と確認をしたそうです。私は現場を見ていたわけでもなく、スリガラスの向こうから「いいよー」と返事をしたのでここで齟齬が出たようです。これからは「ちゃんと一つ一つ見せてから確認を取るよ」と話が解決しました。生き仏みたいなやつです。

うしお曰くその本はうしおの実家に持って行って母親に処分を頼んだそうです。
「まだ処分してないかもしれない。すぐに風呂から上がって実家に取りに行く」
この時点で私は「あれ? おかしいぞ」と気づきました。私のわがままで夜に買い物に出て行ってくれることはよくあります。しかし今二人で入っているお風呂を切り上げてまでというのは異常です。

「待って、おかしくない? なんで今すぐなの?」
「うちのお母さん、夜九時には寝ちゃうから」
そう言えばすごく健康的なお母さんなのでした。
「わざわざ取りに行かなくても、電話して『まだ捨ててない?』って聞けば済む話しだよね?」
「あれ……?」

ここでうしおも冷静になりました。「何か」が二人を引き離そうとしているのです。私は最初、道の案内をした自分がターゲットなのかと思っていました。しかし安全な家の中から出て行くのはうしおの方です。どうも私が邪魔で引きはがそうとしたように思います。

私も私でおかしかったのです。
あの本はいつまで経っても売りに行かず、ずっとそのままになっていたのを思い出しました。売るのが面倒くさいので捨てるという選択をした気がします。
元々私はルールをかなり重視する方です。もしも私がうっかりで部屋の隅に置いたのならば、それは自分が悪いとすぐに納得するはずでした。

とりあえずこれしかないと、二人してお互いの背中に清め塩を擦り込んで洗い流しました。これでかなりの迷いが取れました。思考がすっきりとクリアになり、「これが憑き物が落ちる」という感覚なんだなーと思いました。

このときから私は、家にあるだけでほとんど手を合わせることのなかった神棚をかなりまじめに拝むようになりました。だってこんなときに他に頼るところないじゃん! あっちは山の神とかなんとかだし、対抗馬が丸腰の人間ではどうにもなりません。こちとら必死です。苦しいときの神頼みから始まる神道ライフ。

心霊現象とは関係ありませんが、うしおが「頭の左の後ろからボソボソ言ってたのがなくなった」と言っていました。本当に関係ないのかそれ。内容は聞き取れなかったそうです。

冷静に考えるとあれはやっぱり殺しにかかってたなあと思います。いったい私たちはどこにいたのか、うしおが根負けしていたら二人とも奈落の底に落ちていたのか、それともうしおだけが引っ張られていってしまったのか。あのときうしおが吐き気に負けて車のドアや窓を開けてしまっていたら、そこは境界線を失ってしまっていたはずです。どこかよくわからない世界に迷い込んだかもしれません。死の国に行っていたかもしれません。
考えれば考えるほど、生きて帰れたのが奇跡に思えました。

季節は初夏、カーステレオを止めていたのなら必ず鳥や虫の鳴き声が聞こえていたはずなのに、あのときは何も聞こえませんでした。エンジン音と、水の噴き出すじょぼじょぼという音しか聞いていません。市街地でも一日中虫の声が聞こえる時期なのに、ましてや田舎の離島、木々以外存在しない山の中です。なのにあの山の中に生命を感じるものは何もありませんでした。虫も見かけませんでした。

次の日にうしおが仕事から帰ってきて「ねぇ、髪の毛伸びてない?」と訊ねました。
「本当だ!」
毎日顔を合わせてますが「そろそろ髪の毛が伸びたねえ」と思う頃になると、うしおは散髪に行ってさっぱりしてきます。「普通ならそろそろ切る頃だねぇ」という長さより明らかに伸びていました。昨日こんなんだったか? こんなに長いのは見たことがありません。

うしおは少し癖毛なのですが、それがまっすぐになっています。しかしその分をさっ引いても1cmくらい伸びているようにしか見えません。普通に髪の毛が伸びたのと同じように全体の髪の量も増えています。

家に帰っても訳の分からないことが続きます。こんなことは聞いたことがありません。
「急に髪の毛が伸びるなんて『うしおととら』みたいだね」
「獣の槍の伝承者かー」
仮名が「うしお」に決まった瞬間でした。

うしお的には髪の毛が伸びるのは気持ちの悪いことではありませんでした。むしろ護られているというか、生命力というか、いい感じだったそうです。

ちなみに次の日、髪の毛の長さが元に戻ってました。平日で髪を切りに行く時間はないですし、髪の毛の具合から散髪直後ではないことは確かです。予想外で意味不明なことしか起きません。
古代の神様のルールはよく分りません。
「古代神」のところまで話が進みませんでしたのでまた次回。

 

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