真光やめたら幸せになりました

真光やめるほどじゃないけど、ちょっと疲れたな。そんなときは一息つきましょう。無理にやめなくてもいいんですよ。

お国ことばの聖書「ガリラヤのイェシュー」

以前に「ケセン語」という気仙沼地方の方言で書かれた聖書を紹介しました。
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ガリラヤのイェシュー

ガリラヤのイェシュー: 日本語訳新約聖書四福音書

ガリラヤのイェシュー: 日本語訳新約聖書四福音書

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: イーピックス出版
  • 発売日: 2011/10/01
  • メディア: 単行本
ガリラヤのイェシュー」は全国の方言で訳されています。
「セケン(世間)語訳」とのことで、なかなかシャレが聞いていますね。

ネタ系聖書と思われるかもしれませんが、新約聖書ギリシャ語原典から翻訳したという本格的なものです。

イェシュー

エスがイェシューとなってるのもその一環。
本来は「イェホシューア」と名付けたのですが、ガリラヤ訛りで「イェシュー」となったそうです(P21)*1

よきたより

内容は4つの福音書ですが、目次では「マタイの伝えた《よきたより》」となっております。
確かに「○○伝」や「福音」ではすっと馴染みにくいものです。

何弁で書かれている?

地の文や王などの改まった言葉は幕末期の日本語風でややかため。
エスも改まった場では、このござる口調です。一人称はやつがれ。

各地方や役職ごとに方言が割り当てられ、
イエシューやガリラヤ人はケセン語
サマリヤ人は鶴岡弁、
ローマ人やピラトーは鹿児島弁
……と他にも色々そろっています*2

人はパンのみにて生くるものに非ず

この聖書は分かりやすい反面、原文にない意訳をしている箇所があります。
聖書で有名な「人はパンだけで生きるものではない」ですが、本書では

「人は飯さえ食っていれば幸せに暮らすというものではない」(マタイ4.4。P32)

というように、日本語として分かりやすい文章になっています。

確かに日本でも「飯」というと、食事そのものや、生活費の意味があるので通じやすい意訳でしょう。
他にも「石をパンに変えてみろ」も「握り飯に変えてみろ」(ルカ4.3。P335)となっています。

すべてが握り飯に置き換えられているのではなく、5千人に分けるのも最後のお膳で分かつのもパンでした(マタイ14.13-21、26.26)。

洗礼

洗礼者ヨハネは「お水潜らせのヨハネ」として登場。
真光信者は洗礼自体が何のことか分からないので、「火の洗礼・水の洗礼」と脅されていました。
「お水潜らせ」だったらそこまで怖くなかったんじゃないでしょうか?
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以前紹介した口語訳版ともかなりニュアンスが違います。

隣人を自分のように愛しなさい(新共同訳)

「汝の隣人を愛せ」も

「見ず知らずの他人をも進んでおのが身内となし、これをおのれのごとくに大事にせよ」(マタイ19.19。P123)

と具体的な説明になっています。
脚注によると

《隣人》とは隣近所の親しい仲間。ただしこの掟には、見ず知らずの他人でも自分の目の前にいる人を自分の《隣人》として扱えとの含意がある(同P)

だそうで、当時の文化・背景も分かるようになっています。

鹿児島弁ピラトー

去年は大河ドラマ西郷どんを見てたので、ピラトーは鈴木亮平の声で再生されますね。
おいが見たや(見たところ)、ん男にゃ、罪となすべきかどない一つ無か」(ルカ23.4。P473)

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何故イエスよりバラバが解放されたのかはP294に詳しいので、自分の目で読んでみてください。

その他

死後の復活は「三日目にはまた立ち上がらせていただくことになっている」(マタイ16.21。P109)
メシアは「お助けさま」などやわらか言葉。

神道の言葉

(こと)()げ」
御言(みこと)()ち」
高御座(たかみくら)
賢所(かしこどころ)
司祭(かんなぎ)
などなど神道に馴染み深い言葉も意外に多く使われています。

聖書で「夷狄(えびす)」や「攘夷(じょうい)」という言葉が出てくるとは思いませんでした。

まとめ

とはいえ「聖書に興味あるけど、そもそも日本語として意味が分からない」という方には解説も多く、読み物として楽しめると思います。

ガリラヤのイェシュー: 日本語訳新約聖書四福音書

ガリラヤのイェシュー: 日本語訳新約聖書四福音書

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: イーピックス出版
  • 発売日: 2011/10/01
  • メディア: 単行本
イエスの言葉 ケセン語訳 (文春新書)

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出典「ガリラヤのイェシュー」。
おことわり:引用の際に、一部のルビを省略しました。

*1:東北訛りでそうなったわけではない

*2:残念ながら広島弁はありませんでした