真光やめたら幸せになりました

真光やめるほどじゃないけど、ちょっと疲れたな。そんなときは一息つきましょう。無理にやめなくてもいいんですよ。

日本神話とギリシア神話 大物主とエロス編

日本神話とギリシア神話の似ている話

何かと共通点の多い日本神話とギリシア神話ですが、あまり取り上げられていない話もあります*1

  • エロスとプシュケー
  • 三輪(みわ)の大神である大物主(おおものぬし)活玉依毘売(いくたまよりびめ)

ギリシア神話のエロスとプシュケ

エロスはギリシア神話の愛の神であり、美の女神アフロディーテの息子です。

とある国に美人三姉妹の末っ子のプシュケという娘がおり、その美しさはアフロディーテをしのぐほどと評判でした。
人々はアフロディーテの祭壇をないがしろにしてその娘を崇拝し始めました。

アフロディーテは怒り狂い、エロスに復讐を言いつけました。
エロスは恋の弓矢を持っており、どんな相手にも惚れさせることができます。その弓矢でプシュケが下賤な男と恋に落ちるように仕向けるのです。
ところが、うっかりエロスは自分自身を矢で傷つけてしまい、プシュケに激しい恋心を抱くのでした。

一方プシュケは求婚者が現れず、困った両親はアポロンの神託を授かりに行くと「山の上の怪物の花嫁になる」と言われました。
実際に山にたどり着くと、素敵な宮殿に豪華な食事。優しい夫は夜ごとに通うが、姿は見せられないという。

怪物に嫁いだはずなのに幸せそうに暮らすプシュケを姉たちは不審に思い、プシュケに夫の姿を見るようにそそのかします。
プシュケがある夜に訪れた夫の姿を見ると、そこには羽根を持つ美青年がいました。

姿を見られたエロスはプシュケを置いて飛び去りました。
その後プシュケは無理難題を乗り越えて一度は死にましたが、エロスが生き返らせて再び二人は結ばれました*2

三輪山の大物主

古事記

活玉依毘売(いくたまよりびめ)はたいそう容貌に優れた女性でした。
威厳のある装いのたぐいまれな立派な男が夜中に突然訪れ、お互いを見初めて結婚しました。やがてイクタマヨリビメは妊娠しました。

両親は夫もいないのに身ごもったことを不思議に思い、娘に尋ねると
「名前も素性も知りませんが、麗しい男が夜になるとやってきて、共に過ごすうちに自然と懐妊しました」と答えました。

両親はその男の正体を知りたがり、娘には「赤土を床の前に散らし、糸巻きに糸を巻いて針に糸を通しておき、その男の着物の裾に刺しておきなさい」と言いつけました。
娘は言われたとおりにして翌朝見てみると、その糸は鍵穴を抜けて残った糸は三巻だけ。糸をたどると美和(みわ)山の神の(やしろ)にたどり着きました。つまり神の子を身ごもったのです。
糸が三巻(みわ)残ったことから三輪(みわ)と名付けました*3

日本書紀

倭迹迹日百襲姫命(やまととびももそひめのみこと)は第七代孝霊(こうれい)天皇の皇女です。
夫である大物主神は夜にしか通ってこなかったので、「昼間の美しい姿が見たい」と頼みました。
大物主神は「明日櫛箱の中にいるから、その姿を見ても驚くな」と言いました。
しかし箱を開けると中に小さな蛇がいたので姫は驚き叫ぶと、大神は恥をかかされたと怒り、三輪山に帰りました*4

古事記日本書紀では話が多少違いますが、ギリシア神話との共通点は、

  • 山と関係が深いこと。
  • 美しい男性が夜ごと通うが、正体は明かさないこと。
  • 身内にそそのかされて正体を見ること。
  • 姿を見られて関係が終わること。

と、おおまかな話の筋は似ていますね。

見てはいけない妻の姿を見てしまって永遠の別れに至る話は、日本だけでなく世界の神話に多くあります。
大物主とモモソヒメ、エロスとプシュケの二組は男女逆で、見てはならぬ夫の姿を見て別れに至ります。
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意中の女性を娶るために不可能な課題を与えられる男性の話は多くあります。
日本神話ではオオナムジとスセリビメは恋に落ちますが、姫の父であるスサノオは殺す気満々。オオナムジをヘビの部屋に閉じ込めたり、野原で火をつけたりします。

プシュケはアフロディーテの神殿に訪れて許しを請い、小屋いっぱいの混ざり合った穀物を日暮れまでに種類別に分ける、凶暴な羊から羊毛を刈り取るなどの課題を与えられました。
これも男女逆で、夫に会いたくて妻が難題に取り組むお話になっています。

さて、古事記日本書紀とで話が分かれてはいるのですが、「糸で麗しい男の正体を突き止めること」と、「その正体が蛇であること」が重要な点となります。

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参考および出典

神社検定公式テキスト2『神話のおへそ』
神社検定公式テキスト10『神話のおへそ『日本書紀』編』

*1:大林太良は触れているようだ

*2:イラストで読むギリシア神話の神々P59-62

*3:神話のおへそP208-9

*4:神話のおへそ日本書紀編P237