前回に引き続き、第9回神社検定壱級感想戦(2021年度)
おことわり
これは問題を解いた個人の感想であり、解くさいの考え方の記録に過ぎませんので誤りがあるかも知れません。
公式の解説ではありませんので、閲覧は自己責任でお願いします。
神社のいろは要語集宗教編分 問1~問50まで
過去問やってれば取れるものには過去問と記載しました。記憶頼りなので多少違うかも知れません。
特に記載ない限りは、神社のいろは要語集宗教編のページ数です。
問1。過去問ほぼそのまま。要語集P150-151。
頻出の「先代旧事本紀」の基礎的な知識。選択肢1と2は迷わない。4は知らないが3の大伴氏・尾張氏に違和感。
「先代旧事本紀」が物部氏の撰であることを実はちょっと忘れていた。
問2。過去問改変。P163。
頻出の神道五部書について。
「外宮祭神の更なる神威高揚」という最も基礎的なことを聞かれたのに「外宮」と「内宮」を読み間違えてしまい、誤答。最初に選んだ答えが正答なだけにおしいです。
どうして4の「北畠親房」にしたかというと、多分過去問のときには文末が「つながりはなかった」でこれが正解だったからですね。
過去問に引きずられて失敗することもあります。
問3。過去問。
似たようなタイトルで惑わせる。
問4。過去問そのまま。
経典・神典と間違えやすい。
問5。過去問そのまま。P156。
延喜式は神道に関わることに多くを割いていますが、文化や生活や精神面にまで言及しているのが特徴。
問6。過去問。
これも文庫の名称という基礎的なことしか聞いていない。『鼇頭古事記』や『鼇頭旧事紀』も過去問で問われたことはあります。
問7。過去問。P136。
それぞれの文書と、賀茂真淵と本居宣長の思想について基礎的な知識を問う問題。
古事記と日本書紀はどういう文体で書かれているのか、漢籍で飾られているのはどちらなのか。どちらが古語古文の研究にふさわしいのか明白だろう。
先代旧事本紀と延喜式「祝詞」も迷わないだろう。
問8。過去問の改編。P143。
選択肢2の「八束水臣津野命の「国引き神話」」は重要。
選択肢4の「播磨国風土記」を読み飛ばして「間違っているものがない」と慌てた人もいるのでは? これは「出雲国風土記」の特徴について書かれています。
「播磨国風土記」はあまり聞かれないが、伊和大神の事績が特徴。
問9。過去問ほぼそのまま。
「改めるべき点」が重要なポイント。
問10。過去問。
問11。過去問
吉田家と争った白川家の活路。
八神殿については「神社のいろは要語集祭祀編」に詳しい。
問12。過去問そのまま。P88。
「中朝事実」と「本朝神社考」の名前がややこしい。これも弐級の「神社いろは続」に書いてあります。
問13。過去問。
弐級でもよく聞かれる荷田春満。
「このままでは国書が誰も読めなくなる」という危機感からの学校創設がポイント。
むしろ春満はこの点しか聞かれない。
問14。過去問。
長々と続く古文だが、文末にある「死後の世界に対する不安への割り切り方」が大事なところ。
問15。過去問。P50。
賀茂真淵が古語古文の研究をしていたので、言葉が大事という点。
他の選択肢は、延喜式の個々の祭りや神宮についての項目。
問題文には「全体について」とあるので「祝詞」しかあり得ないことが分かる。
知識がやや薄くても読解力で解けるかも?
問16。これは新問。P54。
「久度・古関は知らないし、祈年祭は違うよね」という選び方をしました。
やはり正解の選択肢はここでも「言葉」である大祓詞と出雲国造神寿である。
問17。これは新問。P54。
この中で知っている著書が「玉勝間」しかなかったが、それでも2択まで絞れる。
「続紀歴朝詔詞解」「天朝無窮歴」のどちらなのかは、もはや名前のそれっぽさで判断するしかない。
「天朝無窮歴」はなんとなく嘘くさいし、名前からは歴史書のようだ(今ぐぐったが「天朝無窮暦」なら実在するらしい)。
「続紀歴朝詔詞解」の字面のうち「詔詞解」でこちらを選んだ。やはり言葉である。
「紫文要領」は宣長の著書ではあるが、源氏物語についての注釈書なのでふさわしくない。
問18。これも新問。P46。
全く知らないので、なんとなく選んだ。
4人のうち分かるのは鈴木重胤と平田銕胤だが、3はなにか違うと思った。ひっかけの匂い。
本居大平は全く知らないが矢野玄道は聞き覚えがあった。
あ、ゲンドウじゃなくてハルミチですか。
問19。過去問ほぼそのまま。
明日井、烏伝というあまり聞き慣れない言葉。
問20。過去問改編。
問21。これも過去問ほぼそのまま。
問22。過去問。
私は「群書類従」もちょっと読んだことがあるので覚えている。
解説なしの漢文を読むのはとてもつらかった。
問23。過去問そのまま。
これももっとも基礎的な「荷前(のさき)」だけ分かればよい。
問24。過去問そのまま。
この手のものは文末が否定形のものはかなり怪しいのだが、まれに例外もある。
問25~28は過去問ほぼそのまま。
問29。過去問そのまま。
「祭神論争」と今の今まで勘違いしていたが、過去問の記憶で解いた。
大教院は天照大神と造化三神であって、大国主神は奉斎の対象に入っておりません。
ちなみに祭神論争は、神道事務局に天照大神と造化三神がすでに祀られていたところに、大国主神をあわせてお祀りするかで天皇の裁定を仰ぐ事態になったこと。
神社のいろは続P153。
問30。過去問。
弐級でもよく聞かれる、教部省とか神祇院、社寺局、宗教局は覚えられないまま終わりました。
名前がコロコロ変わるし、理解できない。
出題者が一体何を聞きたいのか分からないまま暗記も出来ず。
問31。過去問。
教派神道も一問くらいは出題される。富士信仰がらみだけは押さえておけばなんとかなると判断したのだが、結局覚えられなかった。
御嶽教は名前が山っぽいので間違えやすいかも。
問32。過去問。
問33。過去問そのまま。
1は基礎的な知識。3と4は「歴史を閉じた」「大学再建」と、文章としてお互いに矛盾しない。4はあり得るが3はない(歴史を閉じていないのに再建したら変だろう)。
過去問でも私立か官立かを聞いてくるので、そこが大事なこと。
問34。過去問。
神道指令は何を分離したかという基礎的なこと。信仰ではない。
問35。過去問ほぼそのまま。
「八幡愚童訓」と「八幡縁起絵巻」は名前が似ているし、問題文にも「縁起」や「霊験」と書いてあるので紛らわしいが、蒙古襲来のソースは大体「八幡愚童訓」である。
アンゴルモア面白いよ。
「御霊会」と「放生会」は名前が似ているが、御霊会は非業の死を遂げた人々の祟りを畏れて御霊(ごりょう)として祀り、舞楽などで慰撫し、読経で荒ぶる魂を鎮めようなどとすることです。
あまり関連がありません。
問36。過去問。
問37。過去問。
沙石集とちょっと迷う。
問38。過去問ほぼそのまま。
4つの地名・人名を覚えていれば2択まで絞れる。
問39。過去問あったような。
「かんながら」の意味が分かればそれほど難しくはない。
問40。過去問。
大祓詞の基礎知識なので、ご存じの方も多いだろう。
国之水分神は名前通り水の神様。
問41 過去問。
禊祓も大事なところ。
問42。過去問。P234。
だいたい吉田である。白川家というより伯家だよね。卜部氏は中臣氏配下から独立し、吉田氏と分かれた。
掃部も名前通り掃除などに関わる部門。
問43。過去問。
「六根清浄祓」と「三種祓」は弐級でも聞かれる。
問44 過去問。
問45。過去問そのまま。
選択肢に道饗祭(みちあえのまつり)がないのはやさしい。
問46。過去問のまま。
「うしはく」と「しらす」の違いについて。選択肢1と3は基本的な意味。
天皇に使用例があるか・ないかが最も重要。
「うしはく」が天皇のみに用例があるなら問題文の
と矛盾するし、そもそもこの引用文自体が答えである。
問47。過去問のまま。
「ない」と言い切るときは要注意だ。
問48。過去問のまま。
「宮中祭祀」なら万葉集や古風土記、延喜式神名帳は違うし、「地方の開拓的な神観」なら万葉集も延喜式祝詞も違う。
「各地における神祇信仰」、「中央政権の発展」ときたら延喜式神名帳しかない。
それぞれの内容をだいたい把握していれば解けるはずだ。
問49。過去問改変。
本居宣長と平田篤胤の思想の違い、特に死後の世界についての考え方の差異をまとめたもの。
弐級でも聞かれた。
問50。過去問。
これも基礎。
神社検定壱級「神社のいろは要語集 宗教編」のコツ
第8回壱級の祭祀編と同様で、ほとんどが過去問からの出題でした。
といっても、壱級はメインテキストが2冊で交互に出題されるため、第3・5・7回の問題集が必要です。
第6回以前は入手が困難なため、中古か電子書籍か、割高なオンデマンド印刷で買うしかありません。
壱級ともなると、「過去問をやりこんで当たり前」の世界です。
問題集には1問ごとに正答率が掲載されていますが、「難しい問題なのに正答率が高い」と驚くことが多かったです。
「玉勝間」と「玉だすき」、「当山派」と「本山派」の区別がついている人が多くて、受験者のレベルの高さに心が折れそうになりました。
神道史や思想がメインなので、「神社のいろは続」にさっと目を通すか、関係のある項目だけでも復習するとよいでしょう。
このように参級テキスト「神社のいろは」と弐級テキスト「神社のいろは続」は壱級の勉強にも役立つので、参級・弐級合格後も、手元に置いておきましょう。
丸暗記は不要
初めのうちは内容が理解できないので、「暗記に頼らないといけないのかなぁ」と思いましたが、試験を終えてみればそんなことはありませんでした。
教科書は相当分厚いのですが、出題される部分は非常に限定されています。
更にほとんどが基礎的なことしか聞かれず、重箱の隅をつつくような内容はほとんど出題されません。
ただ本当に出題されたところ「だけ」読むと理解が難しいので、その項目の全文や、大項目の大きな流れは押さえておきましょう。
壱級要語集の特徴
壱級の問題の特徴として、大まかな流れなどが説明されている項目を問題文とし、下線のある個別の項目について問う形式が多いです。
具体的に言うと、問1~9は要語集宗教編のP135~136「神道の経典観」をほぼそのまま載せています。
しかし、この文章そのものから出題されているのは穴埋めの3問(4カ所)のみ。
それ以外の6問は「先代旧事本紀」「神道五部書」『延喜式』「伊勢神道と度会延佳」「風土記」『古語拾遺』について答えるので、総合的な知識が必要です。
つまりこの2ページだけではなく、各項目も読まなければなりません。
面倒でもそれをしないと理解ではなく、大量の丸暗記になって脳の限界を超えます。
要語集は弐級テキスト「神社のいろは続」のように神道史として一つの流れにまとめられた文章ではありません。
事典のように項目が一つ一つ独立していますが、知識がバラバラのままでは解きにくいのです。
これもやりこんでいくうちに、点と点が線となってつながる瞬間が訪れます。
参級・弐級の基礎固めも肝要です。壱級といえども基礎に始まり基礎に終わる。
古文・漢文にあせるな
また、古文や漢文で出題されることもよくありますが、その要旨はテキストに書いてあります。
古文・漢文クイズではなく、その内容を理解しているのかを問うています。
壱級要語集勉強のやり方
問題集過去三回分解いたら、正答率の高い問題のみ再挑戦。
正答率の高い問題は、みんなが解ける問題なので取りこぼしのないようにします。その後は間違えたことのある問題のみ選んで苦手を克服。
二三度間違えたらノートにちょっと書いてまとめます。
受験が近づくにつれてノートにまとめることが増えてしまい、「あ、これは勉強のやり方を間違えた」と教科書をよく読み込むようにしました。
授業を受けたときのように、なんでもかんでもノートを書いていたらいくら時間があっても足りません。
どうしても間違えるところだけで十分。
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正答率を見て何%以上のものを確実に解けるようにするのか決めます。問題集や解答用紙に印をつけてもよいでしょう。
多分高くても82点~84点ぐらいしか取れないように作成されています。
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満点取ろうとしたり、難問・奇問にこだわると基礎的な問題を落としやすくなります。
というわけで、参級のコツと大して変わりません。
付け足すなら「毎日コツコツ」が大事です。
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最初の1~2ヶ月くらいはやる気が全然出なくて、日本書紀を一日10問ずつくらい解いてました。
4年もやりこんでいるので簡単に解けるのは当たり前。このときは一日の勉強時間が10分程度でした。これが週5日間。
いつになったら本気出すんだろうという感じでした。
要語集は10問解くのに40分ぐらいかかってましたね。
試験の一ヶ月前から要語集通読したり、土日の朝も15~30分くらい勉強するようにしました。
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出典・参考